「もう限界かも…」ハラスメントに追い詰められた看護師が心を守るためにしたこと

メンタルを壊されかけた看護師の記録と再生を描く記事用画像 看護師 メンタル

「仕事に行くのが怖い」「朝起きると吐き気がする」「家に帰ると、涙が止まらない」
そんな毎日を、私は新卒で看護師になったばかりの頃から過ごしていました。

先輩や上司からの無視、理不尽な叱責、助けを求めても突き放されるような職場の空気。
それでも私は「ここで辞めたら負けだ」と自分を追い詰め、限界寸前まで働き続けていました。

妊娠がわかったあとも、「堕胎するんだよね」と言われ、つわりに耐えながら夜勤に入り続け、最終的には切迫流産で入院。

それでも、「私が我慢すればいい」と思い込んで、自分を犠牲にしてきました。

この記事では、そんな私が「もう限界かもしれない」と気づいたときにどんな一歩を踏み出したのか、リアルな体験を交えてお伝えします。

もし今、あなたが同じように苦しんでいるなら──
「あなたは悪くない」「逃げることは負けじゃない」
そんな言葉を、心から届けたいと思っています。

夜勤疲れや体調不良がメンタルに影響している場合は、以下の記事も参考になります。

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心が壊れそうだった日々と、その兆候

あの頃の私は、朝が来るのが怖くてたまりませんでした。

目覚ましの音が鳴ると、胃がぎゅっと縮むような感覚。
吐き気がして、立ち上がるのもつらい。それでも、「今日も行かなきゃ」と自分に言い聞かせ、這うようにして家を出ていました。

病棟に着いても、私だけがあいさつを無視される。
申し送りの場では、自分が伝えようとすると話を切られる。
困って相談しても、「自分でなんとかして」と冷たく返され、
医師に判断を仰いだら「なぜ勝手に動いた」と叱られる。

毎日、心がすり減っていきました。

家に帰っても安心はできません。
急に涙が止まらなくなって、布団の中で声を殺して泣く日々。
それでも「ここで辞めたら負け」と思い込み、ボロボロの心と体を引きずって職場に向かっていました。

妊娠がわかったとき、心から喜べませんでした。

「妊娠した?…堕胎するんだよね」
そう言われた瞬間、体が硬直したのを覚えています。

それでも妊娠前と同じシフトで夜勤を続けさせられ、つわりに耐えながら勤務をこなし──
結果、私は切迫流産で入院することになりました。

あんなに守りたかった命を、自分の働き方のせいで危険に晒してしまった。
その事実が、私の心をどこまでも締め付けてきました。

誰かに助けてと言いたかった。
「もう十分がんばったよ」と言ってほしかった。
でも、私は誰にも言えず、ただひとりで耐え続けていました。

その頃の私はもう、自分が壊れかけていることにすら気づけていなかったのです。
もうボロボロに壊れかけていたのです。

ハラスメントの詳細な状況や、私が体験した現場のリアルな声については、こちらの記事でも詳しく書いています。

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限界だった私がまずしたこと

本当はもっと早く「助けて」と言うべきだった。
でも当時の私は、「迷惑をかけたくない」「情けないと思われたくない」──
そんな思いに縛られて、誰にも相談できずにいました。

それでも、心も体も限界を迎えたある日。
私はとうとう、初めて声をあげることができたのです。


【1】家族に打ち明けた

最初に話を聞いてくれたのは、夫と母でした。
泣きながら「もう無理かもしれない」と打ち明けた私に、2人は真剣に向き合ってくれました。

「そんな職場、あなたが壊れてまでいる意味ある?」
「あなたが苦しいと、子どもも不安になるよ」

母のこの言葉が、私の心に深く刺さりました。

私は「頑張らなきゃ」と思い込むあまり、
自分を守ることはもちろん、一番守りたかった子どもの気持ちすら見えていなかったのです。


【2】記録を残すようにした

少しでも自分を守る手段が欲しくて、私はペン型の録音機を購入しました。

師長や先輩との会話をこっそり録音し、日記のようにメモもつけました。
自分の中だけに抱えていた出来事が「証拠」として残ることで、
「これは私の思い込みじゃない」と思えたのです。

音声があるだけで、心に小さな防御壁ができたような気がしました。

実際に使っていたのは、見た目が普通のペンと変わらない「ペン型録音機」。
病棟でさっとポケットに入れられて、違和感なく記録できたのが本当に助かりました。

▶︎ 私が使っていたペン型録音機はこちら👇
※パソコンに接続すれば録音をすぐ確認できます。職場の理不尽さを“見える化”する手段として、本当に心の支えになりました。


【3】“無理をしない”と決めた

それまでは、「できないなんて言っちゃダメ」「全部自分でやらなきゃ」と思い込んでいました。

でも、その考えが自分をどれだけ追い込んでいたかに、ようやく気づいたんです。

だから私は決めました。

  • 体調が悪い日は無理に出勤しない
  • できないことは「できません」と伝える
  • “理不尽”は、黙って受け入れない

もちろん、職場の態度が劇的に変わることはありませんでした。
けれど「私は私を守っていい」と思えるようになったことで、
ほんの少し、呼吸がしやすくなった気がしたんです。


心を守るための一歩は、派手じゃなくてもいい。
「誰かに話す」「自分を信じる」「弱音を吐いていいと許す」──
そんな小さな決断が、限界の先にある希望の第一歩になりました。

それでも立ち直れなかった私が選んだ道

家族に相談して、記録を残して、少しずつ自分を守る行動を始めた私。

でも、現実はそう甘くありませんでした。

無理をしないと決めても、
「体調不良で休むなんて甘え」
「またこの人?面倒な人だよね」
そんな空気が、私をさらに追い込んでいきました。


職場の誰も、私を助けてはくれませんでした。

むしろ、冷たい視線と無言の圧力が強まっていき、
「この人には仕事を任せない方がいい」
「トラブルになる前に距離を置こう」
まるで“厄介者”のような扱いをされるようになったのです。


そしてある日──

子どもの体調が悪くなり、託児所に預けられず、義母にお願いしようとしたとき、
義母が言った一言が、私の心を大きく揺さぶりました。

「そこまでして、働かなきゃいけないの?」

私は言葉に詰まりました。

“働くのが当たり前”“辞めるなんて甘え”
そうやって自分に言い聞かせてきたけれど、
その言葉の正しさに、ふと疑問を持ったんです。


母にも改めて相談しました。

すると、母はこう言いました。
「今のままじゃ、あなたが壊れるよ。
 あなたが壊れたら、子どももきっと悲しむ」

夫も真剣な顔で、こう言いました。
「この際、引っ越して全部リセットしよう。
 もう十分頑張ったんだから、自分の幸せを考えて」

その言葉に、私は救われました。


そして私は、転職を決意しました。

けれど、辞めると伝えてからが、またひと苦労でした。

退職届は何度出しても受理されず、
「今辞められると困る」
「せめて後任が見つかるまでいてくれ」
と引き止められ続けました。

それでも、師長が研修で長期不在になったタイミングで、
副師長に直接事情を説明し、ようやく退職の許可が出たのです。

実際に転職を決意したときに感じた不安や、行動に移すまでの流れについては、こちらの記事でまとめています。

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【看護師 転職ストレス対策】転職に疲れたあなたへ。後悔しない3つの選び方👇


退職日を迎えた日、私は本当に「自由」になった気がしました。

職場を出た帰り道、空が広く見えたのを今でも覚えています。

何より、子どもと過ごす時間を取り戻せたことが、私にとってのいちばんの宝物になりました。

心を守るために、今できること

私がこの体験を通して強く感じたのは、
「自分を守れるのは、結局自分しかいない」ということです。

あの頃の私は、
「誰かが気づいて助けてくれるかもしれない」
「時間が経てば、周りの態度が変わるかもしれない」
そんな淡い希望にすがって、耐えることを選んでいました。

でも、現実は変わりませんでした。
むしろ、耐えれば耐えるほど、周囲の目は冷たくなっていったのです。

心が壊れる前に、今できることはたくさんあります。
それは、大きな決断じゃなくていい。
“心のゆとり”を取り戻すための、小さな習慣や視点の変化が、あなたを守る力になります。

■ 誰かに話す

ひとりで抱え込まないで。
信頼できる家族や友人、同僚、専門家に話すことで、自分の感情を整理できることがあります。

「話してもいいんだ」と思えるだけで、少し呼吸がしやすくなるものです。

■ 記録をとる

もしハラスメントを受けているなら、まずは記録を残すこと。
日記でも、スマホのメモでも、ペン型録音機でも構いません。

“事実”を残しておくことは、
心を守るだけでなく、もし行動に移すときの「盾」にもなります。

■ 小さな「NO」を伝える

看護師はつい「自分が頑張れば」と思いがち。
でも、無理なことは「無理」と言っていい。
できないことは「できません」と伝えていい。

自分の心と体を守るための“断る勇気”は、あなたを責める人のためではなく、
あなた自身のために必要なものです。

■ 「逃げてもいい」と思う

逃げることは負けじゃありません。

退職や転職は“逃げ”ではなく、“選択”です。
心と体を守るために環境を変えることは、あなたにしかできない決断です。

働き方はひとつじゃない。
あなたに合う職場は、必ずあります。

■ “限界”のサインを見逃さない

  • 朝起きるのがつらい
  • 吐き気や頭痛が続く
  • 涙が止まらない
  • 誰かの声を聞くのもつらい

そんな自分に気づいたら、「もう十分がんばったよ」と自分に言ってあげてください。

あなたが壊れてしまったら、看護も仕事も家庭も、続けられません。
何より、自分のことを「大切にできている」と思える毎日を送ってほしい。

逃げることは、負けじゃない

あの頃の私は、「辞めたら負け」「もっと頑張らなきゃ」と思い込んでいました。
でも今なら、はっきり言えます。

本当に大切なのは、「自分を守ること」。

どれだけ患者さんに尽くしても、どれだけ職場に貢献しても、
あなた自身が壊れてしまったら、何の意味もありません。

看護師という仕事は、とても尊い。
でも、あなたという“ひとりの人間”の方が、もっと大切です。

今、「もう限界かもしれない」と思っているあなたへ。

どうか、思い出してください。

  • 逃げることは、負けじゃない。
  • あなたが悪いわけじゃない。
  • あなたは、ひとりじゃない。

私もかつて同じように悩み、苦しみ、
そして環境を変えることで、また笑える日々を取り戻しました。

この記事が、あなたにとって小さな光になりますように。

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