「このままでいいのかな…」「周りはどんどん成長しているのに、私だけが取り残されている気がする」
看護師として働いていると、ふとした瞬間にそんな不安に襲われることはありませんか?
私もかつて、毎日が同じことの繰り返しで、「一体いつになったら成長できるんだろう…」と落ち込んでいた時期がありました。
特に中堅になった頃は、新人のときのように目に見えるスキルアップもなく、むしろ評価もされず、「この先どうしたらいいの?」と自分に自信が持てなくなっていました。
でも、そんな時期を経たからこそ気づいたことがあります。
それは、「成長=技術の習得」だけではないということ。
この記事では、「成長できない」と感じていた私がどう乗り越えたか、同じように悩んでいる看護師さんに向けて、ヒントになりそうな考え方をお伝えします。
「成長できない」と感じる看護師の共通点
看護師として働いていると、「何もできるようになっていない」「評価されない」「後輩の方がしっかりして見える」と、自信を失ってしまう瞬間がありますよね。
実際に、私の周りでも「もう何年目なのに、成長してる気がしない」と悩んでいる看護師は少なくありません。
こうした悩みを抱える人には、いくつかの共通点があります。
1. 成長の「基準」が曖昧
成長できていないと感じる理由のひとつに、「何をもって成長とするか」が明確になっていないことがあります。
たとえば新人の頃は、点滴が1人で取れるようになった、褥瘡ケアができるようになった、などわかりやすい成長がありました。
でも数年経つと、できることは当たり前になり、目に見える変化が感じづらくなります。
「後輩をフォローする」「医師との連携がスムーズになる」などの“縁の下の力持ち”的な成長は、周囲にも自分にも気づかれにくいため、自己評価が低くなってしまうのです。
2. 周囲と比べてしまう
SNSなどで「バリバリ働いている看護師」を目にすると、自分と比較して落ち込むこともあるでしょう。
特に同じ時期に入職した同期や、後輩の活躍が目に入ると、「私は何をやっているんだろう」と思ってしまいがちです。
でも、それぞれの環境や価値観、キャリアのペースは違うもの。
一時的な比較で自分を過小評価するのは、成長の実感を遠ざけてしまいます。
3. 評価される環境が整っていない
残念ながら、どれだけ努力しても「褒められない」「気づかれない」職場というのはあります。
私が以前勤めていた職場もそうでした。
患者さんのために提案しても、「それ、余計なことじゃない?」と否定され、何をやっても空回りしているような気分でした。
こうした環境にいると、「頑張ってもムダ」と感じてしまい、成長実感を得るどころか、自信を失っていきます。
4. 自分の強みに気づいていない
意外と見落としがちなのが、「すでにできていること」への自覚がないことです。
他人から見れば「しっかりしてる」「冷静」「丁寧な対応」と思われていても、自分では「ただこなしてるだけ」と受け取ってしまいがちです。
これは、看護師が真面目で責任感の強い職業だからこそ起こる“自己肯定感の低下”です。
成長実感を取り戻すためにできること
「自分だけ成長できていない」そんなふうに感じるとき、焦る気持ちはとてもよくわかります。
でも実は、その焦りが視野を狭くして、成長の機会を見落としていることもあります。
ここでは、私自身が実践してきた「成長を実感するための小さな工夫」をご紹介します。
1. 小さな成功に気づく「記録」をつけてみる
毎日の業務は忙しく、振り返る時間もないかもしれません。
でも、ほんの5分でもいいので「今日できたこと」を書き出す習慣をつけてみてください。
たとえば…
- 初めての患者さんのケアに戸惑わず対応できた
- 急変時に冷静に報告・連絡・相談ができた
- 後輩の相談にのってあげられた
こんな“ちょっとしたこと”も、積み重ねれば立派な成長です。
私は手帳の片隅に一言だけ書いておくようにしたことで、「前よりできるようになってる!」と実感しやすくなりました。
2. 自分の「強み」に目を向ける
「○○ができない」「また失敗した」など、できなかったことばかりに注目すると、自己肯定感が下がってしまいます。
そこでおすすめなのが、「自分の得意なこと」に意識を向けること。
私の場合、「患者さんとの距離感を保ちつつ信頼を得ること」が得意でした。
でも、最初はそれが強みだなんて思ってもいませんでした。
ある日、患者さんから「あなたが来ると安心する」と言ってもらえたことがきっかけで、自分の“当たり前”が他の人にとっての“強み”だと気づけたんです。
自分では気づかない強みも、周囲の言葉から見つけられることがあります。
ぜひ、感謝されたことや褒められたことを振り返ってみてください。
3. 環境を見直す
もし、何をやっても評価されない・成長のチャンスがもらえないと感じるなら、思い切って環境を変える選択も考えてみてください。
私が転職を決意した理由のひとつも、「このままじゃダメだ」と思ったからでした。
新しい職場では、日々の看護の中で「患者さんとどう向き合うか」に集中でき、自分の成長をしっかり感じられるようになりました。
環境が変わると、評価の軸も変わります。
「成長できない自分」ではなく、「成長できる環境じゃなかった」と視点を変えてみることも大切です。
自信を取り戻す「考え方」と「習慣」
「どうせ私なんて…」
成長できない自分に落ち込む日が続くと、ついこんなネガティブな考えに支配されてしまいますよね。
でも、自信を失ってしまった状態から回復するには、“ちょっとした習慣”の積み重ねがとても効果的です。
1. できたことノートをつける
紙でもスマホでもOK。
「今日できたこと」「がんばったこと」を1日1つだけ書いてみましょう。
- 苦手な患者さんに笑顔で接することができた
- 申し送りを落ち着いてこなせた
- 休憩中に後輩の悩みを聞いてあげられた
小さな「できた」が積み重なると、自己肯定感が少しずつ回復していきます。
私はこれを1ヶ月続けてみた結果、「自分って意外と頑張ってたんだな」と思えるようになりました。
2. 看護以外の“自分”も大切にする
看護師という仕事は責任が重く、つい「看護師=自分のすべて」になってしまいがちです。
でも、自信を持つためには、仕事以外の「自分自身」を認めることも大切。
私の場合、母としての役割や、料理・掃除・子どもとの時間など、仕事以外の場面でも「私ができていること」はたくさんありました。
“看護師としての成長”だけに焦点を当てると見えなくなってしまう、「人としての成長」や「生き方」も、自信につながる大きな要素です。
3. 周囲の言葉を信じてみる
「あなたの対応、すごく安心感があるよ」
「○○さんがいると、病棟が落ち着くよね」
そんな言葉をもらったことはありませんか?
自分では大したことないと思っていても、他人から見れば十分に価値があることはたくさんあります。
私はある日、患者さんから「あなたが夜勤だと安心できる」と言われたことがあり、その一言に救われました。
自信が持てないときほど、周囲のポジティブな声に耳を傾けてみてください。
4. 無理に“前向き”にならなくてもいい
「前向きに頑張らなきゃ」と自分を追い込んでいませんか?
落ち込んだときは、無理に元気になろうとせず、静かに気持ちを整理する時間も大切です。
「今日は落ち込んでもいい日」と決めてしまえば、少しだけ気持ちが軽くなることもあります。
感情の波を否定せず、あるがままの自分を受け入れることも、自信を取り戻す一歩です。
「成長できない」と悩んでいたあの頃の私へ
「なんで私は成長できないんだろう」
あの頃の私は、毎日が空回りしているような気がして、自分を責めてばかりいました。
でも今振り返ると、それは“成長できていなかった”のではなく、“成長を実感できていなかった”だけだったんです。
誰かに比べるのではなく、
自分の中の小さな変化に気づくこと。
環境や価値観を見直して、
「こうなりたい自分」に近づくための行動をすること。
それが、確実にあなたの成長に繋がっていきます。
もし今、あなたが「成長できていない」と感じているのなら——
その気持ちは、ちゃんと“前に進もうとしている証拠”です。
どうか焦らず、あなたのペースで。
“昨日の自分より、ほんの少し前に進めた自分”を、ちゃんと褒めてあげてくださいね。
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