「患者さんのため」「周りに迷惑をかけたくない」
そんな思いで、今日もつらさを飲み込んでいませんか?
看護師として働いていると、理不尽なことにぶつかる場面は少なくありません。
上司からのパワハラ、患者や家族からのセクハラ、妊娠したときに浴びせられるマタハラ──。
私もかつて、いくつものハラスメントにさらされながら、
「耐えるしかない」と信じ込んで、壊れかけるまで自分を犠牲にしてきました。
でも今ははっきり言えます。
あなたが壊れてまで守らなきゃいけないものなんて、どこにもない。
この記事では、看護師として働くなかで実際に経験した
「3つのハラスメント」と、それにどう向き合ったか。
そして、あのときの私が“どんなふうに自分を守ったのか”をお伝えします。
もし今、同じように苦しんでいる方の心に届くなら──。
それが、私がこの文章を書く意味です。
職場で起こる3つのハラスメント(パワハラ・セクハラ・マタハラ)
看護師が職場で受けるハラスメントは、大きく3つに分けられます。
- 院内での人間関係によるパワハラ・マタハラ
- 患者や家族からのセクハラ・カスタマーハラスメント(カスハラ)
- それらが複合的に重なる“複数ハラスメント”状態
私はこのすべてを経験しました。
● パワハラ:毎日のように人格を否定された
新卒で配属されたのは、入院・透析・オペ患者が混在する超多忙な一般病棟。
「新卒が3年続くのは3人に1人」という噂もあるほどの厳しい環境でした。
- 先輩のインシデントをなすりつけられ、師長に叱責された
- 挨拶しても無視される
- 申し送りで私だけ飛ばされる
- 困って相談しても「自分で何とかして」と突き放される
- カルテを目の前で投げられる
まるで私は“敵”のような扱いで、心がすり減っていくのを感じていました。
● セクハラ:患者からの言葉と行動に傷ついた
患者さんからのセクハラも日常的にありました。
- 「女は股を開く生き物だ」との暴言
- 血圧測定時に身体を触ろうとする高齢男性患者
- 訪室すると全裸で待ち構えている患者
- SNSでフルネーム検索→友達申請される
誰にも相談できず、笑ってごまかすことで必死に自分を保っていました。
● マタハラ:妊娠しても夜勤、切迫流産で入院
妊娠がわかったとき、私は心から喜べませんでした。
「妊娠した?……堕胎するんだよね?」
そう言われたあとも、妊娠前と同じシフトで夜勤をこなす日々。
結果、切迫流産となり、入院。
働くことが、命を危険にさらす結果になるとは思っていませんでした。
このように、看護師の現場には“見えにくいけれど確実に存在するハラスメント”が溢れています。
夜勤や過重労働による心身への影響については、こちらの記事でも詳しくまとめています👇
▶︎ 夜勤疲れで心と体が限界になる前に読んでほしい記事
限界を迎えた私が気づいたこと
「あの患者さんのために」「自分が我慢すればいい」
そう思って、私はずっと耐えてきました。
- 患者からのセクハラを笑って受け流す
- 師長や先輩の理不尽に目をつむる
- 妊娠しても夜勤をこなし、つわりと闘いながら勤務を続ける
でも、あるとき──限界がきました。
「朝が怖い」と思ったとき、それはサインだった
毎朝、目が覚めるたびに胃が痛くて、布団から出られませんでした。
制服に袖を通すだけで涙が出そうになり、出勤途中に吐いてしまった日もあります。
でも「それでも行かなきゃ」と、無理やり心と体を引きずっていました。
「怒られたくない」が行動の動機になっていた
私はいつの間にか、“自分のため”ではなく“怒られないため”に動いていたんです。
- 忘れ物をしないように必死で確認する
- 看護計画より、先輩の機嫌を優先する
- つらくても笑顔で「大丈夫です」と言う
「仕事のために生きてる」そんな毎日でした。
「壊れる前に離れていい」なんて、知らなかった
ある日、夜勤明けに家で倒れてしまい、病院で点滴を受けながらこう思いました。
「このままじゃ、本当に壊れるかもしれない」って。
でも、そのときの私は、
「逃げる=甘え」だと思っていたから、なかなか休めなかった。
そんな中で、夫が言ってくれた言葉に救われました。
「頑張ることが、いつも正解とは限らないよ」
「あなたが壊れたら、家族みんなが悲しむ」
この言葉で、私はようやく立ち止まることができたのです。
耐え続ける=強さ、ではない
強い人って、なんでも我慢できる人じゃない。
「助けて」と言える人だと、私は思います。
限界を迎えたときに初めて、
「私は助けを求めてよかったんだ」と気づきました。
次にご紹介するのは、そんな私が本当に役に立ったと思えた対処法です。
あなた自身のために、今すぐ使えるヒントが見つかるかもしれません。
介護士さんやリハビリスタッフさんが、
そっと飴をくれたり、私を気遣ってくれたことは、
今でも忘れられません。
私自身が心の限界を迎えていたとき、どんなふうに自分を守ったかについて、こちらの記事でも詳しく綴っています👇
▶︎ もう限界かも…ハラスメントに追い詰められた看護師が自分を守るまでの全記録
私が実践した3つの対処法
あの頃の私は、「逃げるのはダメなこと」「我慢が足りないだけ」だと思っていました。
でも、心と体が限界を超えたとき、ようやくわかったんです。
「自分を守ること」は、甘えでも逃げでもなく、“必要な選択”なんだと。
ここでは、そんな私が実際に行動に移して、少しずつ心が軽くなった3つの対処法をお伝えします。
【1】信頼できる人に話す
一番最初に話を聞いてくれたのは、夫と母でした。
「もう無理かもしれない」と泣きながら伝えたとき、
夫は「限界まで頑張らなくていい」と言い、
母は「あなたの変化は子どもにも伝わるよ」と教えてくれました。
それまで“自分の弱さ”だと思っていた涙も、
話すことで「これは普通じゃなかったんだ」と気づくことができました。
信頼できる人に話すだけで、心の中の霧がすっと晴れることがあります。
【2】記録を残す(心の防御壁)
師長や先輩からの暴言や嫌がらせ、
患者からの不適切な言動──
そのすべてを、私は「証拠」として記録するようにしました。
とくに役に立ったのが【ペン型録音機】です。
▶︎ 私が使っていたペン型録音機はこちら👇
見た目は普通のペンと変わらないので、ポケットに入れても目立たず、
自然に音声を残せる安心感がありました。
「これは私の思い込みじゃない」と確認できるだけで、心が守られるような気がしたのを覚えています。
【3】“変わらない職場”からは離れていいと認める
最終的に私が選んだのは、「転職すること」でした。
正直、怖かったです。
「また人間関係で失敗したらどうしよう」
「この選択は間違ってるかも」
そんな不安でいっぱいでした。
でも、あのまま同じ場所にいたら、
私は本当に壊れていたかもしれません。
転職先では、初めて「おはよう」と笑顔で言ってくれる先輩に出会えました。
誰かに責められない環境が、こんなにも安心できるものだなんて──
初めて知った気がしました。
▶︎ 転職を迷っていた当時の心境はこちらに詳しく書いています👇
【看護師 転職ストレス対策】転職に疲れたあなたへ。後悔しない3つの選び方
あなたが壊れる前に伝えたいこと
看護師として働いていると、「誰かのために頑張ること」が当たり前になります。
- 患者さんのために
- チームのために
- 家族のために
でも、忘れないでほしいのです。
あなた自身を大切にすることは、誰のためよりも先に、あなたの人生のために必要なことです。
私は、「逃げたら負け」「頑張りが足りないだけ」と思い込んで、
心が限界を超えるまで耐え続けました。
でも、今は違います。
- 自分を守ることは、わがままではない
- 助けを求めることは、弱さではない
- 環境を変えることは、逃げではない
これが、私がハラスメントを通して学んだ真実です。
理不尽なハラスメントは、あなたが引き寄せたものではありません。
あなたのせいじゃない。
むしろ、あなたが一生懸命で誠実に働いているからこそ、
そこにつけ込んでくる人がいるのです。
それでも「自分が悪いのかも」と思ってしまうのが、
ハラスメントの一番怖いところです。
どうか、壊れてしまう前に。
- 信頼できる人に話してください
- 違和感を無視しないでください
- 記録という盾を持ってください
- そして、自分を守る選択肢を持ってください
看護師という仕事は尊いものです。
でも、あなたという人間の尊さには敵いません。
▶︎ あわせて読みたい
心が壊れそうだったあの頃、私がどうやって立ち直ったのかはこちらに詳しくまとめています👇
もう限界かも…ハラスメントに追い詰められた看護師が自分を守るまでの全記録
この記事が、今、つらさの中にいるあなたの“小さな光”になりますように。
心から、応援しています。
コメント